ヴェニーズワルツとは?

社交ダンスの種目の中で、ヴェニーズワルツというものが存在します。この種目、同じ社交ダンスの種目のワルツとは名前がよく似ていますが、はたして踊り自体も似ているのでしょうか?

ヴェニーズワルツの歴史

19世紀のウィーンで流行した3拍子のワルツです。ウィーン会議がきっかけとされています。ヨハンシュトラウス1世とヨーゼフランナーが創始者とされていて、ヨハンシュトラウス1世の息子、ヨハンシュトラウス2世がヴェニーズワルツの様式を完成させ「ワルツ王」と呼ばれていました。

ヴェニーズワルツってどんな踊り?

スタンダード種目の一つで、ヴェニーズワルツヴェニーズワルツもしくはウィンナーワルツウインナーワルツウインナワルツと呼ばれています。すべて発音が違うだけで、同じ踊りです。リズムは3拍子で1拍目にアクセントがあります。競技ダンスでは最後もしくは3曲目に踊ることが多いです。予選の段階では踊らず、準決勝などになってから踊ることがあります。

ヴェニーズ、ヴェニーズ、ウィンナー、ウインナー、ウインナは、日本語に訳すと「ウィーンの」という意味になります。つまり、ヴェニーズワルツというのは、ウィーンのワルツということになります。

ヴェニーズワルツは優雅で素早いダンスです。ステップの数自体は他の種目に比べると圧倒的に少ないのが特徴です。これは、伝統的なダンスを継承するため、バリエーションと呼ばれる応用的なステップを作らないように協定されているのです。したがって、右回りをするナチュラルターン、左回りをするリバースターン、そして右回りと左回りを切り替えるステップのみで主に構成されています。つまり、ほとんど右か左に回り続けているということです。

ヴェニーズワルツに限らず、社交ダンスでは、フロア上を反時計回りに回るというルールがあります。このルールをLOD(ラインオブダンス)と呼びます。この交通規則を守らないと、他のカップルと交通渋滞が起こったり、衝突事故のもとになります。

さて、このLODは反時計回りと決まっています。体験してみると分かるのですが、右回り(ナチュラルターン)をしながらだと簡単にLODに沿って進めるのですが、左回り(リバースターン)をしながらLODに沿って進むのは非常に難しいのです。よって、リバースターン(左回り)よりもナチュラルターン(右回り)の方が多く使われる特徴があります。つまり、ヴェニーズワルツはほとんど右回りで構成されているのです。

始めてこのダンスを踊る人の多くが「目が回る」と言うそうです。確かにずっと回り続けていれば、慣れないと目が回るだろうなぁと思います。見ている人からすると、非常に優雅ですが。

ステップの種類が少なく、競技会でもなかなか踊るきっかけが少ないのです。さらに、回転が多く、素早いというこの種目の特性上、あまり好んで踊られることは少ないようです。競技選手でさえ、練習頻度は少ないのです。めったに踊らない種目ではありますが、回転が多く素早いので、ダンスの基礎を学ぶには最適だという先生も多くいるのも事実です。

実際に見てみよう

では、実際にヴェニーズワルツがどのような踊りなのか見てみましょう。

まずこちらの動画をご覧ください。とあるサークルのヴェニーズワルツの紹介動画です。

ヴェニーズワルツの基本的で簡単なステップを解説してくれています。ヴェニーズワルツの基本的なリズムの取り方についても触れてくれています。動画に合わせてステップ名やリズムが明記されていて非常にわかりやすいです。

では、すごく上手な人たちがヴェニーズワルツを踊るとどのようになるのでしょうか?次は、元世界ファイナリストのジョナサン・ウィルキンス&ヘーゼル・ニューベリー組(Jonathan Wilkins & Hazel Newberry)のヴェニーズワルツのデモンストレーションをご覧ください。

優雅という言葉に尽きますね!!素晴らしいダンサーです。複数人で踊る競技会ではなく、一組で自由な曲で踊るデモンストレーションなので、基本的なステップ以外にも特殊なステップがたくさん使われています。このカップルは、雰囲気が非常に上品なカップルです。曲の特徴や上品な表現が非常に上手いカップルですね。

では次に、競技会の様子をご覧ください。これは2011年に大阪で行われた日本のプロA級の試合の様子です。

競技会は複数人で同時に踊り競い合います。優雅なヴェニーズワルツの特徴が見事に表現されています。どのカップルも甲乙つけがたいですね。

いかがでしょうか?ヴェニーズワルツの雰囲気をつかんでいただけましたか?